この記事は「WordPress Theme Lightning & BizVektor 他 Advent Calendar 2016」の6日目の投稿です。
Lighting&BizVektorコア開発者の石川さんからバトンを引き継いで、「実際にLightningを使用した」というか「Lightningだからできた」サイト制作事例をご紹介いたします。
私は職業として「Webデザイナー」を名乗っていますので、WordPressでサイト制作を行う際は、通常は既存のテーマは使用せず、案件ごとにオリジナルテーマを制作しています。
そのため、デザインから公開までは、どうしても1か月~3か月程度かかってしまいます。
しかし、あるとき、どうしても超特急でWebサイトを制作・公開しなければならない案件があり、初めて既存テーマを使用してサイト制作を行いました。
その際に使用したのが「Lightning」と「VK All in One Expansion Unit」でした。
目次
熊本地震が起こった日に来たFacebookメッセージ
2016年4月、熊本地方を震度7の地震が襲いました。
そして、2度の地震は熊本・大分の各地に甚大な被害をもたらしました。
2度目の地震後の被害の様子をテレビで見ながら、呆然としていた私。
そのときスマートフォンに、1通のFacebookメッセージが届きました。
「川井さん ボランティアでホームページお願いできないでしょうか? Facebookしか発信方法ないのでホームページ欲しいです」(原文とはちょっと違ってるかも)
Facebook友達の森本さんからでした。
森本さんは京都府舞鶴市の建設資材の開発・販売会社「株式会社DIY STYLE」の社長さんであり、「防災士」としても活動されています。
熊本地震が起きるとすぐに支援チームを立ち上げ、Facebookページを開設されたのですが、やはりきちんとしたWebサイトが必要であるとの考えから、私に連絡をしてこられたのです。
森本さんがWebサイトに要求されたのは下記のようなものでした。
- ちゃんとした団体っぽい見た目
- 支援方法をわかりやすく表示
- 支援状況を日々報告できる仕組み(健全性をアピール)
- 支援内容を記録し、あとから参照できる
- 独自ドメイン
森本さんは自社サイトを持っておられますので、まともにWebサイト制作をしたら、お金も時間もそれなりにかかることを知っておられます。
それでも、商売でWeb制作をしている私に依頼されてきたということは、私をプロと見込んでのことだと思い、「ここは何とかしなければ」と感じました。
なぜ、WordPressを選んだのか?
支援は待ったなし。とにかくスピードが必要ですので、HTMLから作っている時間はありません。
まずは既存のサービスを使うことを考えました。
アメブロなどのブログサービスは「ちゃんとした団体っぽい見た目」にするのが難しいです。
JimdoなどのWebサービスを使うことも考えましたが、実はこれらのサービスで独自ドメインが使用できるのは有料プランからになります。
今回はボランティアです。
私も経済的に余裕があるわけではありませんので、毎月の固定費はかからないに越したことはありません。
そこで、現在借りているレンタルサーバー「エックスサーバー」のWordPress自動インストール機能を使うことにしました。
これなら追加費用は掛かりません。
管理画面にログインし、自動インストールの画面から必要事項を入力するだけで、ものの数分でサイトが立ち上がりました。
WordPressのテーマの多くは使いづらい
WordPressの特長は「テーマが豊富で自分の好きなデザインに変えられる」ことだとよく言われますが、あくまで私見ですが、カスタマイズをほとんどせずにビジネス用途での使用に耐えるテーマというのは、実はあまり多くない(というか、ほとんどない)と思います。
公式テーマをざっと見渡した時、見つかるのはブログ用途のものばかりです。
英語がベースのテーマだと、たまに良さそうなものが見つかるのですが、なぜかフォントを日本語にしたとたんにダサくなってしまうことが多いです。
非公式テーマでは、ビジネス用に多彩な機能を詰め込んだテーマもありますが、たいていの場合、他のテーマに変更することを考えていないので、いくつかテーマを切り替えただけでカスタムフィールドが異常に増えてしまったりメニューに使わなくなった項目がたくさん残ったりしてしまいます。
以前、地元の美容室のサイトのリニューアルの相談を受けた際、過去に非公式の有料テーマをいくつも乗り換えられていたらしく、投稿画面に過去のテーマが残した膨大なカスタムフィールドが残っていてクラクラしたことがあります。
(そのときは、有償で不要なカスタムフィールドを削除させていただきました)
WordPressをインストールした際のデフォルトテーマも例外ではありません。
ほとんどがブログ用途で、フォントを日本語した途端に微妙な感じになってしまいます。
それに、デフォルトテーマにはビジネス用途の機能がほとんどありませんので、プラグインをいくつも組み合わせてサイトを制作していくことになります。
ただ、今回は時間がないので、いつものようにテーマを作っている余裕はありません。プラグインの組み合わせに悩んでいる暇もありません。
そこで私が選んだのが、「Lightning」と「VK All in One Expansion Unit」でした。
LightningとVK All in One Expansion Unitの”使える”ところ
自動インストールで立ち上がったWordPressに、すぐさま「Lightning」と「VK All in One Expansion Unit」をインストールしました。
トップページのメインイメージは、手元にあった素材集から「輸送トラックと夜明け」の写真をチョイスしてカスタマイザーから設定。
メインイメージの下には、「PR Blocks」ウィジェットで支援方法を記載したページへのリンクを作成します。
寄付金のお願いは「CTR」機能で各投稿の末尾に表示。
問い合わせ先は「問い合わせ」機能でフッターに表示。
「Facebookページプラグイン」ウィジェットで、すでに立ち上がっていたFacebookページのタイムラインをサイドバーに表示。
そしてサムネール付きの「新着記事」ウィジェットをトップページに配置し、支援を呼びかける記事を作成しました。
今後のこともありますので子テーマを作りましたが、実際にはfunctions.php
どころかstyle.css
も特にカスタマイズしていません。
カスタマイザーで色などを調整しただけです。
独自ドメインは組織の正式名が決まってから取得することにしていたので、まずは私のドメインのサブドメインを使ってサイトを公開しました。
ここまでにかかった時間は、わずか28分でした。
その後、支援組織の正式名が決まり、独自ドメインを取得し、ネームサーバー設定が有効になって正式公開になったのは、依頼を受けた日の深夜でした。
そのサイトが「北近畿くまもと地震支援チーム」です。
公開翌日から、支援の際のお願いや支援方法などのページを更新し、支援状況の報告を行っていきました。
投稿は森本さんが行うことになっていたのですが、いきなり投稿するのも難しいので、公開当初は私が代理投稿し、その投稿を複製してリライトすることで投稿に慣れてもらいました。
WYSIWYGエディターのボタンをカスタマイズして不必要なボタンを隠したり、簡易マニュアルを作成したり、Facebookメッセージで指導なども行い、すぐに本人が投稿できるようになりました。
ちょうどいいオールインワンプラグイン「VK All in One Expansion Unit」
このように「北近畿くまもと地震支援チーム」のサイト制作では、「Lightning」と「VK All in One Expansion Unit」の採用によってあっという間にWebサイトが出来上がってしまいました。
誰でもいきなり「Lightning」と「VK All in One Expansion Unit」を使えば30分でサイトが作れるというものではありませんが、事前に解説ページを読んで、テストサイトをつくっていくつかの機能を試しておくと、実際にサイトを作る際にかなり高速にサイトを作ることができるのは間違いないでしょう。
「Lightning」のコーポレートサイトに最適なかっちりとしたデザインもそうですが、「VK All in One Expansion Unit」の存在が非常にポイント高いです。
いろんな機能を詰め込んでオールインワンをうたったプラグインって結構たくさんあるのですが、このプラグインほど「不要な機能が少なく」「設定が簡単」なものは無いように思います。
最近は「カスタム投稿タイプ」まで追加できるようになったみたいです。
ますます他のプラグインが必要なくなりますね。
それでいて、他のプラグインとの相性も悪くありません。
例えば「VK All in One Expansion Unit」には「Google Analytics」のトラッキングコードを出力する機能がありますが、他のSEOプラグインなどでコードを出力している場合は、オフに設定することで機能が重複しないようにすることができます。
こういうところは、WordPressの制作経験が多く他のプラグインも熟知している制作者にとって、非常にありがたい部分です。
WordCamp Kansai 2016 で紹介させていただきました
「北近畿くまもと地震支援チーム」Webサイトの制作事例は、2016年7月に行われたWordPressの大規模カンファレンス「WordCamp Kansai 2016」のセッションで発表させていただきました。
下記の記事に、当日の発表に使用したスライドなども掲載しておりますので、ご興味がございましたら、ぜひお読みください。
WordCamp Kansai 2016 に完全に巻き込まれてしまった話
さーて、次のアドベントカレンダーは?
7日目は、まだ担当される方が決まっていないようです。
我こそはと思われる方、ぜひご参加ください。
この記事を書いた人
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FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き
1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数
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