3月のWordBench京都でテーマやサイト改善について考えてきました

(2018年4月3日追記:宮崎さおりさんのスライドを追加しました)
(2018年4月3日追記:宮崎さおりさん、小原千秋さん、よしぱんさんのブログ記事へのリンクを追加しました)
(2018年4月3日追記:当日のtogetterへのリンクを追加しました)


桜が開花し始めた3月25日(日)、WordPressコミュニティの勉強会「WordBench京都」に参加してきました。

WordBench京都 3月 テーマ作成とサイト改善の話 – connpass

今回は、特に狙ったわけでもないのに、登壇者5名がすべて女性でした。
『みんな女性だからゆるーい感じかなと思ってた』なんて人がいましたが、内容的に非常にレベルが高く、懇親会では『WordPressの勉強会でこんなに濃い話が聞けるとは思わなかった』という感想が多く聞かれました。

WordPress公式テーマを作成してみてからの変化

最初のセッションは宮崎さおりさん。
仕事でクライアントのWordPressテーマ制作をしていると公式テーマを作成しようとか思わないのですが、そんな私の考えを見透かしたように「公式テーマの作成が仕事に役立つのか?」という話を中心にお話をしていただきました。

公式テーマを作ってみてクライアントワークに役立つと思ったことは、

  • WordPressの便利関数や機能を知ることができる
    (カスタムロゴ、サイトアイコン、post_class など)
  • デフォルトテーマや他の公式テーマを見る機会が増え、コードのパーツ化など優れたコーディング技術が身につく

といったことだそうです。
確かに、WordPressが持っている機能を知らずに自分で実装してしまってセキュリティホールになったり、あとで修正しづらいものになったりすることがありますね。
そういったことは、いつも一からテーマを作っているだけではなかなか気づかないところだと思います。

ちなみに、さおりさんが作成された公式テーマは「Moca」
テーマ名は愛犬の名前からとったそうで、スナップショットにもしっかり写っています。
賢そうで可愛いです!

moca

宮崎さおりさんのブログ記事はこちら。
スライドでご紹介いただいたコードも掲載されています。

「WordBench京都 3月 テーマ作成とサイト改善の話」でテーマ作成についてお話ししてきました!

仕事ではじめて子テーマ使ったときに思ったこと

2つ目のセッションは、最近ママになられたツカダトモミさん。
子テーマによるテーマ制作のメリットとデメリットについて、感じたことを話していただきました。

参加者の方はクライアントワークでは、子テーマではなく一からテーマを作られている方が多いようでした。
私も下手にHTMLとCSSが書けたために、最初のうちは一からテーマを作っていました。
でも最近では、ほとんどのケースで子テーマの形で作っています。
公式テーマの話とも通じるものがありますが、WordPressの便利機能をうまく使っている親テーマを選ぶことで、一から作っていたときには知らなかった関数や機能を使って、よりよいテーマを作ることができるんですよね。

ただ私見ですが、子テーマの制作ってよほどニーズに合った親テーマを見つけられない限りは、あまり時短にならないと思っています。
日本人以外が作ったテーマでは、日本語にしたとたんダサくなることが良くあります。
親テーマのデザインに引っ張られてしまい、自分の作りたいデザインにするのが難しいことも多いです。
子テーマの制作には親テーマをよく理解する必要があり、機能が豊富なテーマほど子テーマは難しいのです。

セッション後の質疑応答では、子テーマではなく、フレームワークテーマやスターターテーマといわれるデザインがシンプルなひな形テーマをベースに制作するのがおススメという参加者からの話もありました。

UX基礎の基礎

3つ目のセッションは、小蕎麻衣さんによるUXについての話。
わかっているようで全然わかってないUXについて、概念から実践まで、限られた時間の中で非常にわかりやすくお話ししていただきました。
私としては、特にセッション満足度の高いセッションでした。

私の経験ですが、UX(ユーザー体験)については、サイト設計の段階でクライアントと揉めることが多いんです。
そして、使う言葉であったり、クライアントやデザイナーのエゴであったりといったところで、「迷わず、当たり前に使える」ということが実現できないような結果になってしまうことが起こってしまうんです。

セッションの中では「テレビのリモコン」が取り上げられていました。
誰もが使えないと困るものなのに、作っている側のエゴが出すぎて、誰もまともに使いこなせない代物になっている典型です。

そうならないためにはどうしたらいいか?
それはやはり、ユーザーを知ることなんですね。
アナリティックスなどでデータをとる(定量データ)とともに、ディスカッション・インタビューなどで「気持ち」を知る(定性データ)ことが重要。
まさに『会議室ではなく現場で起きてんだ!』ですよね。(例えが古くてすみません)

小蕎さんのセッションは、最初から最後まで濃い内容でありながらわかりやすく、参加者の方からも『こんなにわかりやすくUXの話を聴けたのは初めてだ』という感想もありました。
私もこのセッションで学んだことを、今後の仕事に生かしていこうと思います。

Google Optimizeで始めるA/Bテスト

4つ目のセッションは、小原千秋さんによるGoogle Optimizeの話。
既存サイトにタグを挿入する(Analyticsタグと置き換え)ことでA/Bテストが行えるようになるGoogleのサービスについて、実演を交えてお話ししていただきました。

WordPressのような動的サイトの場合は、2通りの表示を作っておいてCSSで表示/非表示を切り替えることでテストが行えるという方法を聞いて、コロンブスの卵的な発想だなと感心しました。
JavaScriptも設定できるので、動的に生成されたHTMLを書き換えることもできそうです。
また、Analyticsと同様の方法でテストを行う対象を絞ることができるのが便利です。
例えば、スマホユーザーだけに実施するとか、特定の国からのアクセスだけにテスト対象を限定するなどといったことができます。
さらに、ユーザー数が非常に多いサイトでテストによる悪影響(機会損失)を抑えるため、全体の50%だけをテスト対象とするなどといった設定もできます。

なお、テストは2週間以上実施したほうがいいそうです。
そして、2000PV無いとデータの検証が難しいそうです。
(まぁ、2000PVも無いサイトの場合は、A/Bテストの前にやることがありそうですが・・・)

私は「Google Optimize」ってよく知らなかったのですが、AnalyticsのA/Bテストの機能が独立したものだったんですね。
その機能は知ってはいたんですが、静的サイトにしか使えないのかなとか、使っておかしなことになったらどうしようとか思っていて使ったことがなかったので、このセッションはとてもありがたかったです。

ちあきさんのブログ記事はこちら。
猫が可愛いので、いつも和ませていただいています。

https://chiilog.com/2018/03/25/936/

 

アクセス解析からのサイト改善

最後のセッションは、よしぱんさんによるブログのアクセスアップについてです。
実はこれまで、2度ほど同じような内容のセッションを聴かせていただいたことがあるのですが、今回は「Google Analytics」「Search Console」を使って、どのデータを見て、どう考えて、どう改善していくかという話で、これまでの中で一番実践的な内容でした。

特に今回印象に残ったのは、Search Concole のデータの読み方です。
ランディングページごとに検索クエリを見ると、自分の想定とユーザーのニーズ(検索ワード)のずれがわかるので、タイトルを変えたり本文を修正するのだそうです。
例えば子供の病気についての記事で、病名をタイトルにしていたところ検索する人は病名がわからず症状で検索してくるためタイトルを症状に変えたとか、乳幼児でなく子どもという表現に変えるなど、細かいようですが重要ですよね。
また、記事のメインの内容ではないキーワードで検索が多い場合は、そのキーワードは他に競合が少なくニーズがあるということなので、次の記事を書くヒントになるという発想が凄いなと思いました。

Analyticsは、カスタムレポートを設定して簡単に一度に見られるようにしておき、毎日見ることで変化に気づけるとのこと。
これはもう、クライアントの担当者に今すぐ実践してもらいたいです。

よしぱんさんのブログ改善に関するセッションは、アクセスアップしたいと思っているブロガーさん必見の内容だと思います。

よしばんさんのブログ記事はこちら。
今回のセッションのような対策をされているサイトなので、セッションを聴いた後で見直すと本当に参考になります。

WordBench京都3月に登壇しました。

まとめ

WordBench京都って、各セッションで登壇者が話をして質疑応答があるというよりも、セッションの後で参加者同士で意見交換が始まったり、余談から話が広がったりすることで、登壇者の発表内容以上に大きなものが得られることがあります。
時には登壇者の発表内容の足りない部分を参加者同士が補うことで、登壇者のほうが勉強になるということもあるんですよね。
今回も、セッション自体より参加者同志の意見交換の時間のほうが長かったんじゃないかと思うくらいで、参加してその場に居合わせて良かったと思う勉強会でした。


懇親会では、いつものことなんですが犬の話で盛り上がってしまいました。
特に最初のセッションで登壇された宮崎さおりさんとは、WordPressのテーマ制作の話で『犬の毛色をテーマカラーにしたい』とか『肉球をスキャンしてデザインに取り入れる』とか話をしていたら、一緒に話をしていたよしぱんさんに思いっきり引かれてしまいました(笑)。

そして宮崎さんから私に、『戌年のうちに柴犬の公式テーマを作れ』という宿題をいただいてしまいました。
うー・・・頑張ります。


さて、4月のWordBench京都では、久々に私も登壇させていただきます。
参加者の募集も始まっていますので、みなさんよろしくお願いいたしますね。

WordBench京都 4月 運用の話 – connpass


当日のまとめはこちらからもどうぞ

WordBench京都 3月 テーマ作成とサイト改善の話 #wbkyoto (3ページ目) – Togetter

この記事を書いた人

川井 昌彦
川井 昌彦
FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き

1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数

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