2019年12月3日(火)、パシフィコ横浜で行われたアドビ最大のクリエイティブイベント「Adobe MAX Japan 2019」に行ってきました。
以前東京に住んでいたころは毎回参加していたのですが、京都に引っ越してからはMAXどころかAdobeのイベントにはまったく参加していませんでした(Adobeの人が登壇する他団体のイベントは参加していましたが)ので、めちゃくちゃ久しぶりでちょっと緊張しながら参加しました。
今年のAdobeの推しは「XD」。
メインのブレイクアウトセッションのすべての時間帯にXDに関するセッションがあり、メインセッションと並行して「Adobe XD Short Sessions」まで行われていて、XDの話を聞きたかった私にとっては『どうすればいいんだ?』って状態(笑)
イベント自体の人気もすごく、10月31日の超早割締め切りの時点でほとんどのセッションが満席となる異常事態。
私は超早割で申し込みましたが、いくつかの興味あるセッションはすでに満席となっていました。
以下、参加したセッションの感想を中心にまとめておきたいと思います。
目次
コラボレーションを加速するAdobe XDの新機能と今後の進化
何はともあれ、これだけは参加したかったAdobeの轟啓介さんによるXDのセッションです。
2015年の秋、まだXDが「Project Comet」だったころに、大阪で行われたリクリセミナーで轟さんのデモを見て感動して、アフターパーティーで『期待しています!』ってお声がけしてから4年、すっかりAdobeにとって無くてはならないものになったXDのさらなる進化を、ぜひこの目で確認しておきたかったのです。
MAX直近のアップデートの目玉はなんと言っても「コンポーネント」。
このコンポーネントの「オーバーライド」と「ステート」によって、ボタンをはじめとしたパーツの作成と管理がとてもやりやすくなります。
私は、Fireworksのシンボルとステートが超進化した感じだなと思いました。
もう一つの目玉は進化した「共有」。
リンクされたアセットは、変更されたら通知が来てマウスオーバーでプレビューしてクリックして適用とか・・・超便利!
さらに「リアルタイム共同編集」は、クラウド上のドキュメントを同時に編集するという機能!
Googleドキュメントでやったことはありますが、グラフィックツールを同時編集というのはちょっと凄いです。
もう、今日家に帰ったらすぐにXDで試してみたい! って思ったセッションでした。
グラフィックデザイナーも必見!Webデザインのワークフローで学ぶはじめてのAdobe XD
続いては、株式会社タガスの浅野桜さんによるXDのワークフローに関するセッションです。
浅野さんは以前印刷デザインの会社におられたこともあり、グラフィックデザインのワークフローのままでWebデザインを行うと、どのようなトラブルが起きるのか、それをどうやって解決していくのかというお話でした。
私も印刷デザイン会社にいた時代にWebの仕事を始め、現在も印刷デザインの会社に関わってWebの仕事をしています。
私は浅野さんと同じ立場にいて、まさに今、グラフィックデザインのワークフローでWebデザインを行ったためのトラブルに見舞われている最中なのです。
「Webは印刷と違って印象が変化する」という概念は、印刷物を作っていると理解しがたいものです。
印刷物では、制作者が作ったものがユーザーに届くときに変化してしまったら「印刷事故」です。
しかし、Webは変化するのが前提です。
レスポンシブデザイン、リンク、インタラクションなど、ユーザーの環境・行動で変化し、さらに更新によって内容が変化します。
その変化を共有する必要があるわけです。
そしてWeb制作は「ディレクター」がキーパーソン。
ディレクターが「要件定義をして合意を取り」、デザイナーが「作ってみて課題を明らかに」して、作りながら決めていくというのがWebにマッチしたワークフローです。
だからディレクターもサクッとプロトタイプが作れるXDを使おうよということなのですね。
そして、XDのプロトタイプを引き継いで、PhotoshopやIllustratorでその先をデザイナーが作っていければよいわけです。
グラフィックアプリでつくったパーツをXDに組み込んで共有して進めていくような「便利な機能をつまみぐい」が、今のベターな進め方かと思います。
このセッション、今の案件がスタートする前に聞いておきたかった・・・と心から思いました。
なんとか、次の案件には生かしていきたいです。
余談ですが、実は先日の技術書典に浅野さんが参加されていて「ねこでまなぶアドビ」という同人誌を購入させていただきました。
今日のセッションでも猫の作例が出てくるのかなと思っていたのですが、さすがにそれはありませんでした・・・(笑)
案件に合わせてツールを自在に組み合わせ:Adobe XD+Photoshop+Illustratorを連携させる最新ワークフロー
ウェブ&グラフィックデザイナーの黒野明子さんのセッションは、またまたXDを使ったワークフローの話です。
先ほどの浅野さんと同じような内容に思われますが、浅野さんのセッションはグラフィックデザインからWebデザインへ移行するときに参考になる話で、黒野さんのセッションは実際にWebデザインにXDを利用するときの具体例だったので、私には2つ合わせてちょうどいい内容となりました。
XDの得意なことは、主にこんなことです。
- 素材の集約
- アセットの共有
- アイデアを共有
例えば、各所から素材がやってくる案件や得意分野の違うデザイナーが協業する案件では、ディレクターがワイヤーフレームを作り、コピーライターがテキストを何度も推敲し、イラストレーターやカメラマンが素材を作り、デザイナーがデザインをしていきます。
こういった作業のハブとして使えるのがXDです。
単体で使うのではなく、ライブラリ・プラグイン・サービスを併用し、それぞれの得意分野を生かしていくのがポイントです。
多くのデザイナーが関わる案件では、メインデザイナーがCCライブラリでデザインガイドを共有すれば、他のデザイナーに使わせるのが容易になります。
また、過去のPhotoshopやIllustratorの資産を共有することもできます。
CCライブラリがPowerPointとWordで使えるようになったのは、このセッションで初めて知りました。
Officeアプリで素材が使えると、営業が販促に使えるようになります。
これはちょっと凄いのではないかと思います。
画面遷移やユーザーフローをみんなで検討するには、XDが有用です。
ディレクターやデザイナーのアイデアを、エンジニアや営業、さらにお客様と検討するのは、実際に動作するプロトタイプがあれば一発ですよね。
さらに経営者など決定権のある人(ステークホルダー)には、制作物を理解してもらうために実際に動くものが必要になります。
ここで、単に実際に動くものを作るだけでなく、周囲の風景に組み込むなどして実際に使われる状況をイメージしてもらうと伝わりやすいというアイデアが非常に良いと思いました。
「XDはあらゆる部署(アプリ、人)の得意分野を持ち込んで集うプラットフォームのようなもの」というまとめは、浅野さんのセッションと共通するところで、XDに移行するのではなく、XDを使ってまとめるというのがより良いワークフローのポイントなのかなと思いました。
スポンサーブースとか、Beer Bashとか
メインのセッションは間には十分な時間があって、スポンサーブースなども見て回ることができました。
セッションに参加するだけで終わってしまうようなことがなく、とても良かったと思います。
私はずっとほしかった「フォントかるた」をようやく手に入れることができました。
そのフォントかるたのブースでは、10月の「文字と組版、印刷展」でセミナースピーカーだった伊達千代さんが売り子で参加されており、思わぬ再会となりました。
セッション後の Beer Bash も楽しかったです。
Sneak Preview は相変わらず驚きの連続です。
Adobe Sensei はどんどん進化しますね。
AIの進化は今のところ、私にとっては余計な業務が減るので歓迎ですし、AdobeもAIによってクリエイターが時間をよりクリエイティブなところに使えるように という考えでを導入しているようです。
AIが仕事を奪うという人もいますが、今後どんどん人手不足になって働き方改革が絵に描いた餅になっているこの業界を救ってくれるのはAIだと私は思っています。
次回は2020年11月24日(火)、パシフィコ横浜で開催です。
とっても楽しみで、今からワクワクしています。
この記事を書いた人
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FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き
1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数
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