Webデザイナーが遭遇した、Windows10アップグレードによるちょっとしたトラブル

Windows10今年のGWは大量の仕事が入る予定だったので、旅行どころか外出の予定もまったく入れていなかったのですが、それらのスケジュールが全部延びてしまって暇になったので、メインマシンをWindows7からWindows10にしてみました。

サブマシンの、SONY VAIO Duo13 は、かなり昔にWindows8.1から10にアップグレードしています。
サブマシン上では、仕事で使うソフトウェアなどに特に問題が起きていないので大丈夫だろうと考えていたのです。

ちなみに、無償アップグレードの期限は2016年7月28日までですが、それまでに一度でもアップグレードしたパソコンは、その後、元のグレードに戻しても、将来にわたって無償アップグレードできるのだそうです。
そういったこともありましたので、ダメなら戻せばいいやということで、思い切って試してみました。

(参考)Windows10の無償アップグレード、する? しない? 一度実施すればずっと無料に| IT小ネタ帳

アップグレードは何の問題もなく完了

何かあったらWindows7に戻せばいいとわかっていても、いろいろとトラブルの話は聞くので、最低限の準備はしておきます。

まず、不要なアプリをアンインストールしました。
お試しで入れたままのアプリや、めったに使わないフリーのツールは、全部アンインストールしました。

次に、HDDのエラーチェックとデフラグを行いました。
Windows7のツールで行いましたが、1.5TBのHDDだと、かなり時間がかかりました。

その後、ファイルのバックアップを行いました。
バックアップツールは、素直にzip圧縮をして外付けHDDに保存していくタイプのもので、差分ではなくフルバックアップを行います。
万が一の時にWindows7じゃないとデータが取り出せなかったりするとまずいので、なるべく汎用的な保存方法のものを選びました。
マイドキュメントなどは、Dドライブに設定しているものもあるので、忘れないようにバックアップ対象にします。
アプリケーションは、バックアップから書き戻してもダメなことが多いのでバックアップしませんでした。

※私が行ったバックアップ方法は汎用的ですが面倒ですので、単にWindows10へのアップグレードに失敗した際の保険としてであれば、システムイメージの作成がおススメです。

(参考)システムイメージの作成 パソコン初心者講座

バックアップ後は一度再起動し、タスクトレイに常駐して目障りだった(笑)アップグレードプログラムを起動してアップグレードを行いました。
時間がかかりそうだったのでそのまま外出し、行きつけのコーヒー屋さんでコーヒーを飲んで、帰ってきたらアップグレードは終わっていました。

意外にいい感じのWindows10、でも・・・

すでにサブマシンで経験しているとはいえ、あちらは元々Windows8搭載のメーカー製ノートパソコン。それに対してメインマシンは、Windows7時代のショップブランドパソコンです。
マザーボードもメモリもビデオカードもハードディスクもディスプレイも、全部メーカーが違いますし、自分でパーツを付け替えたりもしています。
何かトラブルが起きても不思議ではないのですが、いざWindows10にしてみたところ、非常にスムーズで一見何の問題もなく動作しています。
Windows98用のアニメーションカーソルもそのままだし、ランチャーなどのツールも問題ありません。
DropboxOneDriveも、ちゃんとクラウドと同期しています。
そして、不調だったChromeも、しっかり同じ不調をひきずっていました(笑)

Adobe Creative Cloud などの仕事用アプリは問題なし

私はWeb制作・DTP制作の仕事をしているので、一番気になるのが使用アプリの対応状況です。

一日として起動しない日はないメインアプリの「Adobe Creative Cloud」
Photoshop、Illustrator、InDesign、Dreamweaver、Acrobat、After Effects などのアプリと関連サービスが一体となった、私のような仕事をしている人には必須のアプリです。
こちらは、何事もなかったように起動しました。
Photoshopをはじめとした各アプリは、ライセンスの認識もされているし、設定も残っています。

フォント管理ツールの「Nexus Font」、FTP/SFTP/SCPクライアント「WinSCP」も問題なし。
当然ですが、「Microsoft Office 2010」もまったく問題ありません。
とりあえず仕事は出来そうです。

クラウドストレージも問題なし

仕事に必須のアプリとして、「Dropbox」「OneDrive」などのクラウドストレージも必須の環境ですが、こちらもまったく問題ありません。
Windows10になっても、きちんと同期しています。

モリサワパスポートが期限切れ?

なんか拍子抜けするくらい快適なWindows10でしたが、アップグレードして3日後、起動すると突如、警告メッセージが表示されました。

「モリサワパスポートの使用期限が終了しました。削除してください」

モリサワパスポートは、プロ用の高品質なフォントが約1000種類使用できるライセンスです。
DTPの仕事をしているなら必須のもので、1年単位で契約をします。
私の場合、契約が6月末まで残っているはずなのですが、今はまだGW中。使用期限が終了しているはずはありません。

このメッセージを見たときは、焦って思わずFacebookに「どうなってんだーっ!」って書きこんでしまったのですが(笑)、ここは落ち着いて、ライセンス管理ツールの「Mフォントスターター」を起動してライセンスキーの登録をやり直しました。

その後、Windows10を再起動したら、メッセージは表示されなくなりました。
フォントも問題なく使用できました。

自分が作ったホームネットワークに入れない?

GWも明けたころ、ノートパソコンをリビングに持ち込んで仕事をしているときに、私は大きな問題に気づきました。

家庭内のWindowsホームネットワークにアクセスできないのです。

普段は、メインマシンとノートパソコン間のデータのやり取りをOneDriveの共有フォルダで行っているので気づかなかったのですが、OneDriveにないデータが必要になり、ノートパソコンからメインマシンのドキュメントフォルダにアクセスしようとしたところ、「アクセス権がありません」と言われてしまうのです。

ネットワークトラブルはこれまでも多くありました。
こういうときは、たいていやり直せば治るものです。

ホームネットワークを作ったメインマシン(Windows10にアップグレードしたマシン)でホームネットワークを作り直すため、まずホームネットワークから抜けました。
そして、再度ホームネットワークを作ろうとしたら・・・

「ネットワーク上にホームグループがあります」

と、さっき自分が抜けたホームネットワークが表示されるのです。
しかも、参加するためにはパスワードを入力を要求してきます。

「え? 自分が作ったホームネットワークに参加するためにパスワードがいるの? ていうか、さっき抜けたのに? 作った人が抜けてもホームネットワークが残ってるの?」

腑に落ちませんが、サブマシンのノートパソコンでホームネットワークのパスワードが表示できたので、とりあえずそれを入れてみました。
ところが、「パスワードが違います」と言われてしまいました。

どうやら、メインマシンがWindows7だったときに設定していたホームグループの情報が、ネットワーク上の他のパソコンに「存在だけ」残っていて、メインマシンはWindows10になってしまったので別のパソコンだと認識されて「パスワードを入れろ」になってしまったようです。
すでにホームグループのホストマシンである「Windows7のメインマシン」は存在しないので、ホームグループを削除するためには、参加しているすべてのパソコンをホームグループから抜けさせて、すべてのマシンを再起動する必要があるのです。

カミさんがパソコンを使い終わるのを待って、家庭内すべてのWindowsパソコンをホームネットワークから抜けさせシャットダウンしたところ、ようやくホームネットワークが無くなりました。
その後、すぐにWindows10にアップグレードしたメインマシンでホームネットワークを再作成
無事、ホームネットワークが復活しました。

マイクロソフトもこの不具合は認識しているようなので、そのうち治るかもしれないですね。

XAMPPでApacheが起動できない!

XAMPPは、Windowsマシン上でWebの仮想環境を作ることができるツールです。
WordPressなどインターネット上ののWebサーバーで動作するシステムをパソコンの中だけで動作させることができるので、プログラム開発などに欠かせないものです。
自分のマシン内であれば、誤動作を起こして無限ループに陥ったり、データベースを壊すようなバグがあっても、他の人に迷惑をかけることがないので思い切ってテストができるのです。

このツール内で、Webサーバープログラムの「Apache」を動作させるのですが、なにやらエラーを出して止まってしまいます。
エラーの内容は「使いたいポートがブロックされている」というものです。
ポートとはコンピューターが外部とデータをやり取りするための出入口のことです。(その名のとおり「港」ですね)
Apacheは、ポート80とポート443を使っています。
これがすでに何者かによって使われているようなのです。

実は「Skype」も以前はポート80を使うようになっていて、Skypeが起動中はApacheが使えないという問題が起こることがあったのですが、今はSkype側で使用ポートを変えられるようになっているので問題は起きません。

まずは、ポート80を使っているのは誰かを探します。
コマンドプロンプトを起動し、Windowsコマンド「netstat -nao」とすると、ポート80を使っているのは「PID 4」(プロセスIDが4)のプロセスだとわかりました。
次にタスクマネージャーを起動して、プロセスIDが4のプロセスを探します。
プロセスIDが4は・・・なんと、「システムと圧縮メモリ」?

さすがに、こんなシステムプロセスと衝突しているんじゃ絶望的・・・と思いつつネットで検索してみると、どうやらこのプロセスは実際には「IIS」のことだとわかりました。
実は、WindowsにはWebサーバーが標準で搭載されています。それが「IIS」です。
開発用のツールですから通常は起動していません。
ところが、どうやらWindows10にしたら、勝手に起動してしまっているようなのです。
こいつは、WindowsのWebサーバーで開発とかしていなければ止めても問題ありません。

スタートボタンを右クリックして「コントロールパネル」を開きます。
「プログラムと機能」を開いて、左のタブで「Windows の機能の有効化または無効化」をクリックすると、ダイアログが開きます。
下にスクロールすると「インターネット インフォメーション サービス」があり、+をクリックすると「World Wide Webサービス」というのがありますので、このチェックを外します

無事、XAMPPのApacheが起動できました。

(参考)Windows10にアップブレードしてXAMPPのApacheが起動しない件

プリンタードライバーが更新できない

Windows10のトラブルも、そろそろ落ち着いてきました。
スタートメニューやウィンドウの使い方にも慣れてきたところ、プリンターのインクが少なくなってきたのに気づき「そういえば、プリンタードライバーって新しくしなくていいのかな?」と思ったので、ちょっと調べてみました。

私が使っているのは、Canon MG3130。スキャナーとプリンターの複合機で、割と古い型です。
サポートが打ち切られているのではと不安だったのですが、ちゃんとWindows10の64bit用の新しいドライバーが提供されていました。

ダウンロードしたインストーラーを起動すれば、USBで接続されたプリンターが認識されて完了となるはず・・・なのですが、まったくプリンターを認識してくれません
メーカーサイトのQ&Aに従って、電源を入れなおしてみたり、ケーブルをつなぎなおしてみたり、インストール画面の「ケーブルの接続」ダイアログが出てから電源を入れたりしてみても、まったく認識してくれないのです。

仕方がないので、キヤノンのメールサポートに問い合わせをしてみました。
キヤノンからはすぐに返信が来ました。(さすがですね)
「パソコン側でプリンタとの接続を正常に認識しているか確認してください」ということです。

パソコンとプリンターをUSBケーブルで接続し、両方とも電源を入れておきます。
スタートボタンを右クリックして「デバイスマネージャー」を開き、「ユニバーサルシリアルバスコントローラー」に「USB印刷サポート」が表示されているかを確認します。
サポートからのメールでは、ちゃんと表示されていない場合に行う手順が説明してあったのですが、うちではちゃんと表示されていました。

うーん・・・正常だよなぁと思いながら、ダメもとで再度プリンタードライバーのインストーラーを起動してみると・・・
何事もなかったかのようにプリンターが認識され、Windows10用のドライバーがインストールされてしまいました。

いったい、何だったんでしょうね?

Windows10はいたって快適です

多少ゴタゴタはありましたが、今は問題なくWindows10を使って仕事をしています。
Windows7に比べて、不満に思うところは全くありません。

勝手にWindows10にアップグレードしてしまうような今のマイクロソフトのやり方は問題があるかもしれませんが、Web制作をしている立場からすると、2016年にもなってWindows10にアップグレードして問題が起きるようなパソコンを使っているというのは、非常に危ないです。

Windows10にアップグレードして生じる問題は、アップグレードしないままで生じる問題よりも少ないと思います。
この記事が、Windows10へのアップグレードをするべきかどうか悩んでいる方の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

川井 昌彦
川井 昌彦
FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き

1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数

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